アンティーク調テーブル

お客様からのオーダーでアンティーク調のテーブルを製作しました。

ご要望として①ターンドレッグ(ろくろ脚)のアンティーク調のテーブルで、②シャビーシックな白系のペイント、③アンティーク加工(ダメージ加工)を施す、の3点がご依頼のスタートでした。市販品で近いイメージのものはあったものの、収納・運搬のために脚を取り外し式にしたいことと色味とサイズで折り合うものがなく、縁あって当工房にご依頼頂きました。
(冒頭の写真および左写真: 背景のみAIで生成)

要素を順に説明していきますと…、

「シャビーシック」とは、shabby(古めかしい)とchic(シック、上品)を組み合わせた造語です。1990年代にイギリスのデザイナー、レイチェル・アシュウェルが提唱して定着しました。アンティークの雰囲気を尊重しながら、大人の女性らしい上品な雰囲気を醸し出すというスタイルです。形としてはアンティーク家具のようなロマンチックな意匠を基本とし、色使いは白や淡い彩色が中心になります。

レイチェルはもともと家具デザイナーだったわけではなく、当地の蚤の市などで買い集めたアンティーク家具を自らリペイントして販売したのが発端、ということなのです。



「ターンドレッグ(ろくろ脚)」は、旋盤(木工ろくろ)で成形された独特の装飾がされた円筒・円柱の脚のことです。歴史的に年代でいろいろなスタイルがありますが、多くは12世紀ごろから続く英国家具の流れをくむものです。のちに日本に洋家具が輸入され日本独自のスタイルを確立して受け継がれているものもあります。

さて今回はどんな脚にしましょうか、と考えていたところ、今回は幸運にも縁あって英国のカントリー家具屋さんで作られた程度の良い脚(未使用の部品状態)を4本入手できたので、お客様と相談の上これをそのまま使用することにしました。

今回はアンティーク家具をリペイントするのではなく新しく作るため、アンティークのように見せる「アンティーク加工(ダメージ加工)」が必要になります。いくつかの手法がありますが、基本は「削る」か「汚す」かのいずれかです。

塗料にはこの手の塗装で定番的に用いられるターナーミルクペイントを使いました。牛乳を主成分とした水性の安全な塗料です。下地に一旦濃い色を塗ってその上からメインカラーである白色系を塗り、それをサンディングなどで削り取って下地の色を浮かび上がらせる「削る」手法を採りました。
これは塗装途中の光景です。これは下地色を赤系と青系で2層塗り重ねているところ。

「削る」系の手法をググってみると、濃い下地色を「まだらに」塗るのが主流なのですが、今回は最終的には赤系と青系の塗料を均一に2層塗り重ね、「削り」で濃淡を出していくやり方を採りました。

レイチェルさんが創始したシャビーシックをその成り立ちから推定すると、元はかっちりした家具であってそれが最終的には白系〜パステル調に塗り替えられたということのはずです。そうなる前に持ち主の都合で何回かこれまたきっちりとプロの手で塗り替えられていて、それがダメージ部に積層レイヤー的に表出する…、そんなストーリーを考えたのです。

「削り」も細目のサンドペーパーのみとし、表面のテクスチャ(凹凸)が出てくるのに任せました。そのため、塗装前はあえて粗めで仕上げ、白色を塗装した後の「最後のひと削り」によって木目の凸凹が表出することを狙いました。

「元はかっちりした家具であった」はずなので、作りとしては手を抜かず、無垢材の湿度による伸縮を吸収するために「駒留」を用い、幕板の前後はホゾで固定して耐久性をもたせています。

お客様のご指定で高さが70cmと若干低めのため、幕板は幅を若干狭くして座った時に足の収まりが良いようにしました。(見た目的にスマートにさせたかった意図もあります)

脚は定番のコーナー金具で締結し、蝶ネジで取り外しできるようにしてあります。くり返しつけ外しされるとのことなので、ごく緩めにホゾを切って幕板と脚を組み合わせるようにしたのですが、この金具自体が圧倒的に普及しており強度もあることは十分確認されているので、効果のほどは正直不明です…。

今回は特に色味や塗装についてはこだわり、お客様と何度もやり取りして進めていきました。アンティーク加工にも工夫を凝らし、最終的には私が普段作るものとはちょっと違って(?)「大人カワイイ」、かつそれだけでなく静謐な雰囲気をあわせ持つ良いテーブルになったと思います。機会を頂きありがとうございました。